PLAN相談・指導内容

現在、吃音には確立された
治療法がありません。
そのため当相談室では
吃音のあるお子さんや、
吃音のある方の状態に合わせて
複数のアプローチをカスタマイズします。
このページでは当相談室で行える
アプローチの一部をご紹介いたします。

Approach1

リッカム・プログラム

就学前・小学生(一部)
吃音・ことばの相談室 くろさわ

オーストラリアで開発された治療法です。治療の有効性が認められているプログラムで、
世界各国で行われています。
流暢に言えるような場面・課題を設定した上で、
お子さんが流暢に話せたときに褒めるなどの声かけをしながら進めます。
当相談室の言語聴覚士はリッカムプログラムの公式ワークショップを修了しています。

Approach2

DCMによるアプローチ

就学前・小学生(一部)
吃音・ことばの相談室 くろさわ

オランダで開発され治療の有効性が認められているRESTART―DCMや、日本発祥の
JSTART―DCMなどをもとにしたアプローチを行います。
DCM(Demands and Capacities Model:要求-能力モデル)という吃音症状が起こるモ
デルを使い、どのような条件だと流暢に話せるのか分析します。そして、周囲の環境を整
え、お子さんの能力を伸ばしながら、楽に話せる機会を増やしていきます。

Approach3

環境調整

全年齢

吃音が楽になるように生活環境を整えます。小さいお子さんの場合、楽に話せることが増えるよう、家庭の中で吃音に特別に配慮した接し方に取り組みます。また、園や学校、職場などに対して以下のような対応を行うことがあります。

・吃音の情報提供、理解不足への対応

ご希望があれば園、学校、職場に対して、吃音の状態や吃音の基本的な知識などの情報提供を行います。
また吃音の理解不足からくる指摘・からかい等が無くなるように、連携しながら対応します。

・合理的配慮の依頼(全年齢)

吃音で困難を感じる場面について、吃音に関する配慮を学校や職場に働きかけをします。
例えば、授業の音読を一人ではなく二人一組で読むようにする、英語のスピーキングテストで吃音が出ても減点としない、電話対応や朝礼について方法の変更を依頼するなどが挙げられます。どのような場面で困るのか、どのようにすると楽に話せるかは、一人一人ちがうため、オーダーメイドで進めます。

・吃音理解授業(主に就学前〜高校生)

吃音のある子や吃音のある人の友達など、周囲の人たちに吃音について説明し、吃音に理解のある環境を作ります。
具体的には学級担任の先生から吃音の説明(吃音理解授業)をしてもらい、クラス全体で吃音について学ぶ機会を設けます。
理解のある環境を作ることで吃音の悪化を防ぎます。吃音の説明内容や方法に関しては、吃音のある子本人を中心に、家族、園・学校、担当言語聴覚士が連携しながら決めていきます。

吃音・ことばの相談室 くろさわ

Approach4

直接的な言語指導

全年齢
吃音・ことばの相談室 くろさわ

・流暢性形成法

「ゆっくり」「やさしい」話し方を練習する言語指導。これはスムーズに話せることを目的としています。お子さんの場合はゲーム感覚で楽しみながら、小学校高学年以上であれば、話し方のしくみを理解しながら反復練習します。

・吃音緩和法

スムーズに話すことを目的とする流暢性形成法とは違い、力の入った吃音を楽な吃音にすることを目指す言語指導。わざと吃ることで症状に慣れたり自身の吃音の状態を理解したりすることで、吃音への不安を減らし、楽な吃音へと変化させていきます。


この2つを組み合わせた方法を統合的アプローチと呼び、小学生に多く用いられます。

Approach5

認知行動療法

小学生以降

元々はうつ病や不安障害の治療法です。これを吃音に対する不安そのものや、不安により引き起こされる悪循環な行動(吃音が出そうな場面を避ける等)に対して応用します。小学生以降、上記のような心理的問題が起き始めてきた時に使用し、吃音で困る場面に上手く対処できるようにしていきます。特に中高生以降の吃音のある人に用いる場合が多いです。

吃音・ことばの相談室 くろさわ

Approach6

包括的アプローチ

小学生以降

言語指導、環境調整、認知行動療法など、様々なアプローチを組み合わせて包括的な支援をします。吃音の状態に合わせて、どのアプローチに重きを置くか決めます。こちらのプログラムは主に小学生以降の方向けとなります。

吃音・ことばの相談室 くろさわ

Approach7

RASSに基づく年表方式のメンタルリハーサル法

小学生以降(高学年以降)

RASS(Retrospective Approach to Spontaneous Speech :自然で無意識な発話への遡及的アプローチ)という理論に基づいた間接法に分類されるアプローチ。声に出しての発話練習をしないことが特徴です。まず過去の体験から吃音を悪化させている出来事がないか、現在悪化の原因となっている行動や考えをしていないかを探ります。そして、寝る前のイメージトレーニングや日常の習慣を変化させていくことで、悪化してしまった吃音を楽な状態に戻すことを目指します。
当相談室の言語聴覚士はRASS吃音研究会の公式研修を修了しています。

吃音・ことばの相談室 くろさわ